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シュレーディンガーの猫の撮影に成功 [最新技術ニュース]

「シュレーディンガーの猫」という言葉をご存知だろうか?これは、量子力学の(未解決)命題である思考実験で、「量子的な状態に置かれた猫は、生きている状態と死んでいる状態が同時に重なり合っている」というものだ。

 オーストリア、ウィーン大学の研究グループは、今回、量子もつれ効果を利用して被写体に一度も当たっていない光子を使い、猫の像を映し出すことに成功したそうだ。

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今回、ウィーン大学量子科学研究センターのガブリエラ・レモス氏率いる研究チームは、研究者たちがその猫を実際に見ないで「見る」方法を発見した。「量子もつれ」という現象を利用して、ある物体との接触が無い光子を使って、その物体を観測することができるかどうか調べたのだ。 そして彼らは、箱の中の猫を見ることができることができたのだ。こちらがその写真である。


光の明暗による猫の像の輪郭はシリコンを彫って作られた形が像になったものだ。それぞれの像は量子干渉による強め合い、あるいは弱め合いによって生まれる。

 この実験において、実際に猫型に切り抜かれたシリコンボードと相互作用した光子は検出器にかけられていないが、相互作用しなかったほうだけを検出器にかけることでこのような画像を得ている。


量子力学的にいえば、理論上、箱を開けるまでは、猫は生きているか死んでいるかの両方の状態であり、それを“重ね合わせ状態”と呼ぶ。すなわち、箱を開けて猫を見るまでは、猫は両方の状態で存在し、確認したその瞬間だけに生きているか、死んでいるかのどちらかの状態に決まる。

 この思考実験は、それを解明しようとする数多くの研究が行わていた。中でも、いつ実際に”重ね合わせ状態”が一つに収束するのかについては強い関心が向けられている。

 量子もつれは、二つの粒子は、原子、光子など何でもよいが、どんなに離れていてもそれらが何らかの相互作用をする事を言う。例えば、二つの光子がもつれると、光子Aはもつれた相手光子Bの状態を反映した状態になる。

 だが光子Aを見ても、光子Bが実際にどんな状態かは断言できないのでは?Bを観測してみるまでは本当はどんな状態かわからないはずだ。しかし、研究者たちはもつれた光子のペアをいくつかを調べ、もつれ状態の片割れを観測することで、もつれ状態のペアの相関がどうなっているのかを調べることができるのだという。


その新しい実験はこのようなものだ。研究者たちはレーザーを発射する。レーザー光はいくつかのビームスプリッターを経た後に、最終的には検出器に送られる。

まずは緑のレーザーを発射し、最初のビームスプリッターにおいて二つに分かれる。その一つは結晶の中を通って、図の赤と黄色の線で表される光子の合わさったものとなる。そしてそれぞれに分けられ赤は猫型に切り抜かれたボードにぶつかり、黄色は最後のビームスプリッターに向かう。このスプリッターはその半分の黄色の光子を検出器に送り、残りを別の検出器に送る。

 一方、初めに分けられた緑のレーザーの片割れは、猫型を通り抜けた赤と合流する。この赤と緑の光子の組合せは二つ目の結晶にぶつかり、赤と黄色に分けられる。その後赤の光子は除外される。ここに、最初に分かれた緑色レーザー由来の黄色い線の光と合流させ最後のスプリッターに通し二つの検出器に向かって分れる。

 検出器では、研究者は猫の画像を見ることができた。これが注目すべきといえるのは、この像は猫型の紙を通してできたものでは無いのだ。猫型に切り抜かれたボードにぶつかった赤の光子は検出器には到達していない。そして黄色の光子は検出器に向かったが、切り抜きにはぶつかっていない。

 この猫の画像は黄色が作ったものだ。黄色の線の光子が赤い線の光子と「もつれて」いるからこのような事が起きる。どの黄色の光子が最初の結晶を通り、どれが二つ目を通ったかを知ることはできない。つまりこの猫は生きているか死んでいるかの両方の状態の重ね合わせになっている。

 しかしながら、赤の光子は猫型の紙にぶつかった。そしていくつかの黄色の光子ともつれあっている。我々は赤がどの道筋をたどったかを知っている。赤が切り抜きにぶつかったということはある決まった値を取ったという事に対応する。その時もつれあいのペアである黄色の光子のほうも、ある決まった値となるのである。


この実験はもつれた光子の片割れだけを用いて、両方の状態を知る方法を示している。以前は、もつれた状態を知るためには両方の光子を観測しなくてはならなかった。

 「この実験の面白いところは光子の対でいかに情報が共有されているのかという事です。」 ルモス氏はライブ・サイエンスにそう語った。「もつれ合い状態おいては、いかに光子が相手の情報を得ているのか、という点です。」


シュレーディンガーの猫とは?


 まず最初に猫を箱に入れる。箱の中には放射性物質のラジウムとガイガーカウンターが1台、青酸ガスの発生装置が入っていて、もし、箱の中にあるラジウムがアルファ粒子を出すと、ガイガーカウンターが感知して、その先についた青酸ガスの発生装置が作動し、青酸ガスを吸った猫は死んでしまう。だが、ラジウムからアルファ粒子が出なければ、青酸ガスの発生装置は作動せず、猫は生き残る。一定時間経過後、果たして猫は生きているか死んでいるか。

 この実験で箱のなかの猫は、放射性物質のアルファ崩壊という量子力学的な振る舞いにのみ生死が決定するため、生きている猫と死んでいる猫が50:50で重ね合わせで存在している事になる。つまり観測者が箱を開けて中を観測しない限り、猫は、生きてもいないし死んでもいない状態なのだ。



http://karapaia.livedoor.biz/archives/52172828.html
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