村口和孝氏×堀江貴文氏×堀潤氏の人生相談 [考えさせられるニュース]
――勘で意思決定をすべきなのか、計算や分析をしたうえで理性的に判断すべきなのか、どちらでしょうか。
村口:誠実に意思決定をするしかないというのが古今東西みんなが言ってることだと思うんですね。どういう基準で意思決定をするかというと、結局自分の胸に手を当てて、誠実に意思決定をしなければいけないんですが。いけないことはその20世紀型の組織的な意思決定に、誠実じゃないんだけれども、思わず従ってしまう。組織には誠実なんだけども、個人の腹の中では不誠実といった矛盾した意思決定はできるだけ避けたほうがいい。半沢直樹的意思決定は避けたほうがいいと思います。避けるためにはどういうふうにしたらいいかということを考えていかなければならないと思います。
堀江:みんな考えすぎかなと思いますね。あんまり考えないんですよね、そういうの。だって分かんないこともあるじゃないですか。数字とか。そうである時もあればそうじゃない時もある。投資のステージによっても違いますし。それはケースバイケースでしょう。
――おふたりの過去の最大級の失敗は?そのリカバリー方法を教えてください。
堀江:僕、失敗とか思わないですけど。
堀:昔から失敗は成功のもとと言いますけど。失敗が何かしらの経験にはなると。
堀江:いやあ、なんだろうな。失敗のこととかあまり考えないほうがいいんじゃないかと。もちろん失敗したら、その原因を分析して二度とそういうふうにならないように、失敗しないようにします。でも、そこまでであとは後悔しない。酒飲んで忘れる。
村口:永遠とダイナミックな試行錯誤をやり続けることが豊かな人生なんじゃないかなと思っています。試行錯誤ってよい日本語ですよね。一般的に言われている失敗を失敗として理解していたら、人生、前に進めないですからね。
――物事を直感で判断できる人は、物心つく頃からそうなんでしょうか。
堀江:直感で判断するって、要は決め打ちですよ。能力ではなくて、そうする方針かどうか。それ言ったら子どもなんてすべて直感で動いているじゃないですか。好きとか食べたいとか。
村口:盛り上がると大体直感でやりますよね、子どもは。
堀江:おとなになると逆にフィルターがかけられていって、そうじゃない行動をしてしまう。
堀:怖いと思うことは?
堀江:怖いというのは、失敗を考えてしまうからでしょう。過去の失敗や嫌だったことをたくさん記憶すればするほど怖れていくわけでしょ。だから忘れると、そんなに怖れないですよね。
――リスクを怖く感じませんか。
村口:それは怖いです。投資するたびに朝起きて、出資して大丈夫かなと思うんですよ。だって、何もない状態のところに何億円も出すんですから。あの時、あの投資をしておかなければよかったとかね。
堀江:じゃあ、かなりずっと後悔していたじゃないですか。そういうことであれば。
村口:そうなんですよ、実は。
村口:ベンチャーキャピタル事業というのはかっこいいと思うかもしれないですけど、後悔と試行錯誤と未来の回収との中で常に混沌としています。そういう商売です。
堀江:僕は投資、大体うまくいっちゃうから、あんまりそういうことない。
村口:いいなぁ。
堀:大体うまくいっちゃう(笑)
堀江:たまに失敗しますけど、それはそれでいいかなと。
堀:おふたりとも必ず未来をつくる側に関わっているからじゃないですか。
村口:また、いろんな意見が出てくるわけですよ。やめておいたほうがいいとか。DeNAに出資する時もいろんな人から指摘されましたしね。女性経営者はやめておいたほうがいいとか、コンサルタント出身者には投資しないほうがいいとか。ジンクスみたいなのがあった。そういうのを聞くと「本当にやって大丈夫かな」と思うんですけど、でも、最終的に自分の中から「これはやっぱりやろう」という思いがわいてきて、決めるんです。結構、意思決定をする時は混沌としていますね。
堀江:俺は人の意見聞かないですね。ふざけんな、俺がやりてーんだ、バーカって。
――ふたりがお金を出したいという企業の基準は何ですか。
堀江:基準があるわけではないです。
村口:私は景色がありますね。その時のパッション。事業機会があって、その人にやれそうな元気があって、情熱があって、根性がありそうだという景色がないと怖い。
堀江:僕の場合は、途中でうまくいきそうにないなと思ったら、どんどん軌道修正します。ベンチャー企業なんてそうじゃないですか。そんな台本どおりにうまくいく会社なんてない。DeNAだって、プランCとかDくらいじゃないですか。
堀:どんどん変わっていくわけですよね。
村口:すべての成功事例が試行錯誤の延長線上です。
堀江:僕も走りながらやろうという感じ。ただインターネットのことはずっと考えてやっています。
村口:堀江さんのように、あるOpportunityに対してがーっと根性と情熱を注いでやるような人は、投資をしたくなるタイプです。
堀江:やりたいですからね。
堀:堀江さんには投じてみたいなと。
村口:堀江さんと同じ時期にやって全然だめだった人たちもいるわけで。(DeNA創業者の)南場智子さんと一緒の時期にやってだめだった会社もいっぱいあるでしょう。
堀江:たぶん、みんなしつこさが足りないんですよね。上場直前期にとにかく納品しまくるとか。無理やり契約を取ってくるとか。そういうのを含めてやれないと、というのはあります。
――モチベーションがなぜ保ち続けられるんですか。
村口:シリコンバレーに行った時に、あるベンチャーキャピタリストからヒューマンアンダースタンディング(人間理解)が必要と言われたことがありました。人間の一部がお客さんなんだし、人間の一部がパートナーなわけだから、人間が面白いと思い続けられなければ続かない。逆に人間の一部が面白いと思い続けられる限りにおいてモチベーションはなくならないと思います。
堀江:やりたいことがあるので。モチベーションも何も考えたことがないです。
――おふたりの夢は何ですか。
堀江:だからさ、なんかさ、もう質問がさぁ…何なんだよ!
堀:ハハハ(苦笑)。
堀江:もうさ、何なんだよ!やりたいことがあるんだよ。
堀:「地図を捨ててコンパスを持て」と(ベンチャーキャピタリストの)伊藤譲一さんがよく言ってますよね。
堀江:夢をかなえる手帳ってあるじゃないですか。夢をちゃんと書いて、逆算して、それでマイルストーン設定してっていう。でも、明日、何が起こるから分からないから面白いのであってと僕は思いますよ。明日が分かっているなんてつまらない。
――これから学生たちの指標となるような言葉をお願いします。
村口:いろんな未来の仮説は持ってみるんだけど、それはどんどん変わっていく。夢や計画を最適化できて、そこにたどり着ければ大したものですけど、おそらく堀江さんも私もまだたどり着けていないんですよ。たどり着けることはきっとないと思うんです。結局、自分の胸に手を当てて、誠実にやりたいなと思うことに向かって情熱をかけながらダッシュするしかないんじゃないかと。会社に入ってもいいんだけど、組織人を脱して、誠実な起業家になって、毎日毎日好きなことで一生懸命にやる。いい彼女を見つけて、いい彼氏を見つけて、いい人生を送っていってほしいなと思います。
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